時間の無駄

9/11

その川沿いは色彩を失っていた。

あのときの草野球チームのユニフォームを思い出せない。あのときのトランペットの旋律を思い出せない。あのとき咲いていた花を、サイダーを、しゃぼん玉を…

無声映画みたいな頭の上を下り電車が通り過ぎる。見知った車両が見知らぬ顔を乗せて向こう岸へ遠ざかっていく。もう届かない距離まで見送ってから、手を伸ばしたかったことに気付いて笑ってしまった。